スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

忘れえぬ人

私のジョギングコースの川沿いの道は、

ずっとフェンスと植え込みになっている。

植え込みには、つつじなどの花だけではなく、

樹木も植えられ、並木になって続いている。
 
葉桜の緑は、もうすっかり色が濃くなった。

桜のほかにも、すっと、まっすぐに背が高い木があって、

今日、走りながら、ふと、この木は何だろう?・・ポプラかな? 

一瞬思った。

私の町にポプラはない。

だから、ポプラに似た、何か別の樹木に違いないけれど、

「ポプラ」という言葉が頭に浮かんだ瞬間、

鮮やかに蘇った風景がある。


六年前、クサコとまだ知り合う以前、

内蒙古の包頭から、寧夏回族自治区の銀川まで、

友人六七人と、マイクロバスで行ったことがあった。

どこまでも続くポプラの並木。

乾燥した畑が広がり、

夏だったから、道端で、農民がハミウリを山積みにして売っていた。

ずっとまっすぐ、何百キロも信号なんてない国道を、バスは快調に飛ばしていたけれど、

銀川まで、あと200キロばかりの、

黄河を渡る橋で、渋滞に巻きこまれてしまった。

車は何キロも繋がって、2時間待っても動かない。

業を煮やして、先頭まで、2キロばかり歩いていってみると、

橋の袂で、巨大なタンクローリーが横転し、橋を完全にふさいでいた。

これではにっちもさっちも行かない。

復旧作業もほとんど手付かずといった状態だった。

黄河に架かる橋は、これひとつ。

仕方がない。

近くの町で一夜を明かさなければならない羽目になった。

登口という町だった。

中心に商店とホテルが少しばかり並ぶだけの、ほこりっぽい、何もない町。

ホテルにチェックインして、もう時間も時間だったから、食事のできる店を捜し、

町で一番高級そうなレストランに入った。

個室に案内され、席を定めて、あれこれ注文。

すぐに涼菜が出て、ビールや白酒が開けられ、

食事が始まる。

私たちは、たわいもない、勝手なことを喋りながら、

食べて、飲んでいた。

部屋の戸口あたりには、ウェートレスがひとり立っていて、

胸の辺りに、大事そうに白酒のビンを抱えていた。

そして、私たちの飲んでいる白酒のグラスが空くと、

そっとやってきて、継ぎ足してくれた。

お仕着せなどではなく、ジーパンを穿いた、

まだ若い女の子だった。

部屋はにぎやかだったけれど、彼女ばかりが静かだった。

だんだん、みんなの関心が彼女に向いて、

あれこれ聞いてみると、

恥ずかしそうに答えた。

年は十八。

近くの農村の生まれで、この町へは来たばかり。

・・・名前も教えてくれたけれど、わすれた。


これだけのことなんだけれど・・・

彼女の立っている姿が、忘れられない。

今も、あのレストランで、白酒のビンを大事に抱えながら、
静かに立っているような気がする。

もう、24歳になっただろう。

どこの町で、どんな暮らしをしているのかな・・・

余計なお世話だと、我ながらおかしいが、

幸せになってるといいなあ・・と、つい考えてしまう。



クサコは昨日の午前中、大きな声で、ずっと、

永井するみの「グラデーション」を朗読していたから、
永井するみ


気分がすっかり晴れたらしい。

昨夜の眠りは、とてもよかったと言っていた。


本日は、晴。

西南の風が強くて、復路、背中を押してくれたから、

気持ちよく走れた。

ポプラ・・のような木の、梢の葉も風に輝いていた。
スポンサーサイト

テーマ : 旅先での風景
ジャンル : 旅行

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

noroba

Author:noroba
norobaです

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。